アユミギャラリー出版取り扱い書籍の紹介 |
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■中国民家探訪事典 内容紹介 この本のテーマは「辺境探訪紀行に民家事典の色彩を加えて」という命題である。そして著者の中国の旅は、目的地を設定せず偶然に身をまかせながら歩き続け、大地の風景をスケッチブックに記録する。この本の中では、日常のささやかな生活シーンや旅の中で偶然に見だされる家々や集落を紹介している。 |
この本に収められている文章の大半は、一九九九年の冬から春にかけて書かれたものです。写真は一九八五年の夏に始まり、一番新しいもので一九九九年の正月ということになります。
『中国民家探訪事典』の企画が決まったのは確か一九九八年の三月だったと思います。「事典」の二文字がズシリと重かったのですが、これを機会にじっくり腰を据えて考えてみようと、少し真面目な姿勢で取り組んだのですが、書く段階になってスランプに陥りました。結局、資料よりも琴線で語ろうということで、いつもと同じように肩の力を抜き、探訪・・に力を入れて書くことになりました。事典の中に「風」「土」「匂い」「汗」といった旅の生気が漂っていれば、と思っています。
ふりかえると中国大陸は気が遠くなるほど広大でした。様々な民族が様々なライフスタイルで生きています。同じ季節を旅しても、極寒の地があれば常春の地もありました。酸素の薄い高原を歩いた後は濃密な空気がうれしかったし、激しい雨の降る土地、喉がからからになる砂ぼこりの乾燥地帯もありました。住居の形態だけでなく、風土、宗教、哲学、言葉、衣装から食事にいたるまで、これだけ多様性と謎を混沌に包含している国もめずらしいのではないでしょうか。