山中にて吾思う。/秋馬ユタカ

山の中には、「気」が満ちていると思う。
時に精霊の姿をして、「気」は僕たちに語りかける。
姿は見えないが、そこにいるんだろう?
音に姿を変えることもある
木々、せせらぎ、風、いくつもの音が重なり
やがて、それは森の歌になる。
全ての生き物に優しい歌声
しかし、歌声は永遠ではないんだ。
ここ高尾の山は、トンネル工事が進められている
山を深く傷つける発破を使った工法に切り替えられ
信じがたい速度で山を削っていく
もうすぐ完成だ。
山の水脈は衰え、滝が枯れ始めた
山は悲しく歌う
精霊達はきっと怒っている
僕たちに必要なものは、実はそんなに多くはない
トンネルだけじゃない、原発だってそうだ。
全国で美しく気高い「気」が弱まっていく。
福島が教えてくれたのに、また忘れようとしてるのかい?
山のブルースが聞こえる。。。