AYUMI GALLERY

 
    旧諸戸邸
藤沢 穣


 コンドルの設計になる邸宅建築は、今や全国に6棟しか残っていない。大津での同窓会からの帰途、桑名に立ち寄り、その中のひとつである旧諸戸邸を見学した。他のコンドルの設計になる邸宅と比べると、ふた回りぐらい小形であるが、よく整備されて残っている。塔屋は最初3階建ての設計だったが、すぐ側を流れる長良川の景観を見るために、4階建に変更されたのだそうである。
 帰り際に長良川の堤防の上からもう一度眺めて見ると、これはどうしたことか、本屋と塔屋の間の屋根の部分に、買ったばかりの資料の図面には出ていない1本の線が見えるではないか。遠くてよく判らないが、本屋と塔の間に斜めにもう一つの屋根がないと理屈に合わない。この疑問を晴らすために、自分の想像図を付して質問の手紙を出したところ、桑名市の教育委員会から屋根伏図を含む図面のコピーにコメントを付けた返事を頂いて、自分の想像の正しかったことが確かめられた。
 作品の制作は非常にスムーズであった。ベランダの屋根も、円と四角が組合わさった塔も、思ったよりうまく出来上がったと満足している。桑名市教育委員会のお陰である。

  建物名:旧諸戸邸
竣工年:1913年
建築家または棟梁:不詳
所在地:愛知県桑名市