近代建築史への旅・1998夏・東京

公募のよびかけ


 この展覧会は、「明治以降現代までの身近な建物や町並み、有名無名を問わず風景として生き続けている建築を、愛情を込めて描いてみよう」との呼びかけで、1993年春から始まった公募展です。
 明治維新以降、高度成長期までに建てられたいわゆる近代建築は、全国各地に点在していながら、今さまざまな理由で姿を消しつつあります。そうした中で、市井の一人ひとりが描くことで、建物に注目し建物へのエールを送りたい、というメッセージが、この展覧会には込められています。そして、人々やその地域の多義的な記憶を刻み込んだ貴重な近代建築たちと向き合い、対話し、描くなかで、一人ひとりが物語を織りなすようにつくり上げたスケッチたちを一堂に集め、身近な建築たちを改めて見直すきっかけにもしていきたいと考えています。
 展覧会はこれまで、東京のみならず横浜、高知、岡山、札幌といった会場を巡回してきました。今回は東京神楽坂のアユミギャラリーと、重要文化財に指定され中京を代表する近代建築として市民に愛されている名古屋市市政資料館(旧名古屋控訴院地方裁判所・1922年築)を会場に開催されることになりました。
 名古屋もまた、官民の良質な近代建築が豊富に残り、また古い町並みを活かしたまちづくりの先駆的実践地でもあります。この機会にぜひ多くの方が参加され、力作をお寄せいただきたいと思います。

                      1998年3月
                   鈴木喜一(建築家・武蔵野美術大学講師)
                   宮本和義(写真家)

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