竣工年：1923年
建築家または棟梁：

所在地：東京都
　　　　北区

亀の子束子西尾商店
石原　るりか

　今回初めてスケッチ展に参加する機会に恵まれて、できるだけ、今生活している場所から身近にある建物を描きたいという気持ちがあった。
　そこで、現在私の住んでいる板橋一丁目から巣鴨にかけて通る旧中山道沿いの北区滝野川六町目に残る、以前から気になっていた建物を描いてみることにした。屋根や一部を除く窓、正面のシャッターと内装は新しく替えられているが、大切に使われている様が伺えて、温かい気持ちになった。正面に取り付けられた、一際存在感のある木彫りの看板に目をやると「亀の子束子西尾商店」とあった。誰もが一度はお世話になったことがある、亀の子束子の元祖を製造する会社の事務所であった。設計者と建築年は不明だが、明治40年の創業で、大正12年の関東大震災で、崩壊せずに残ったということが解っているので、そのあいだに建てられたものらしい。改装以前は分銅式上げ下げ窓が、この事務所建物と今は無い工場にも付けられていたとのこと。