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平成16年7月9日午前10時。気温はとっくに30度をこえている。昨日の東京は35度を越えたらしい。まだ梅雨は明けていないというのに。気温も去ることながら、湿度も大変なものだ。辺り全体はまるで蒸し風呂のよう。通りすがりの人たちは口々に「お暑ございます」とか、「蒸しますね」と、決まり文句を交わしながら猛暑を凌いでいる。私は何とかスケッチを仕上げようと、本日の陽気など一切構わず、さっきから日向の歩道に立ちん坊で道路の向側の古風な結納屋さん（安斎商店）を描いていると、おしりのポケットの私のケイタイがブルブルと振動しているので、手に取って耳に当ててみると、写真家の大橋富夫さんだった。開口一番「あっついよ」と言う。私が「暑いですね」と言ったら「今名古屋でさ、カンカンでりの屋上で撮ってるよ」とのこと。大橋さんの一言で私も一気に暑くなった。「暑い暑い」と人に言うことで、人は暑さを凌いでいる。今日のようなこんな日は、人から人へと暑さが伝わっていく。その度に人の気分は人から人へグルグル伝わっていく。いや〜今日は「暑さ」で日本中の人の気持ちが一つになっている。なにかエネルギーが湧いてきた。さあ、こちらも一気にスケッチをしあげるぞ！
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