「加賀金沢にて」
石川県金沢市には、現役時代に仕事で何度も行ってはいるが、余裕の無い日程で、泌々とその風土と歴史を見聞することがなかった。
関ヶ原合戦の後に、前田利家の第五子か? 上野国7日市藩主として、現在の群馬県富岡市へ着任入国した時に、顧従して来た数名の家臣の一人が私の遠い先祖である。そのゆかりの地を妻と訪れたのが昨年の秋11月であった。洗練された中卉伝来の文化、水路と樹木を、たくみに取り込んだ街造り、更に戦災を免れたことも大きいが、旧「四高」と「第九帰国」文武の残影が、歴史を消化した美しい自然の中にうまく溶込んでいて、どこの路地一つでも、スケッチしたい町並みで、立山の連峰が美しかった。
400年をさかのぼって、わが心のふるさとの旅であった。
|