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5月も末になった頃、私たちは桐生の街を訪れた。
私にとっては初めての桐生で、見てまわるうちにこの街が往時織物を中心とした活気に満ちた街であったことが知れた。
スケッチに入ったが、暫くすると付近の家の人が、お茶を差入してくれる。スケッチの手を休めてこの街の話を聞いた。
昔の活気はないが、最近、からくり人形芝居が復活したという。
織機を作った工人がその技術でからくり人形をつくり、しかも、その動力を水車から持ってくるという画期的のものであったという。
町ごとにそれぞれの人形芝居を競い合ったそうだ。
桐生の人は、皆親切であった。この町の善意がいちげんの旅人にも快くこころに残った旅となった。
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