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京都には歴史的文化的芸術的な建築物が数多く存在する。そのどれもが日本を、京都を代表する建築物であることは、自他共に認める所である。しかし、今の時代に広く知られていない、その時代を物語り、今に伝えそして今もなお大きな意義を持つ建築物を見逃すわけにはいかない。私が取上げた「島津創業記念資料館」もその一つであろう。建物の前に立ち、鉛筆を走らせる時、文化の黎明期に日本の近代産業振興の道をまっしぐらに駈った科学の先達の雄姿が走馬燈のように蘇って来る。当時木屋町二条界隈は、舎密局をはじめ織工場などが集中しすぐ傍を流れる高瀬川を介して、伏見・大阪への交通の便を利して大いにその勢を増して行った。
この絵を画きあげた時に現代の「科学のふるさと」が、ここに健在しているとしみじみと思った。
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