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山梨・長野県には、いわゆる藤村式洋風建築が相当保存されていて、近代建築に関心のある者にとって有難い地域である。山間にある旧尾県学校を訪れたのは数年前の事であるが、小さな学校は幾星霜を経て、健気にもその形と、精神を吾人に教えてくれている。
村の共有材を伐採し、搬出し、労力を提供して、この学校を造った人達。明治の昔、文明開化に、恐れとあこがれを、質朴なこの里の人達は、精一杯取組んだ。
新しい時代の到来を、子弟の教育の場からと、父母達の流した汗が私には貴いもの、その後の発展の原点のように思える。
可愛らしい小さな教会12.7メートル平方、延308平米、閑静な地に、二階のバルコニーに吊ってある時報の太鼓がほほえましい。
隣に稲村神社、エノ木の大樹がある。
明治の気骨をその荒々しくて、そして温厚な幹が語りかけてくる。
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