神楽坂建築塾 第三期 修了制作

建築を楽しむ

  建築塾塾生 鯉沼法男









 

********************追記**********************

 この製作物において製作者の意図するのもは、約一年間に渡る神楽坂建築塾の活動のうち、フィールドワークで製作者の感ずる部分である。以下に各講師の方々が行った講議についての感想を追記することで、私の建築塾の総括とさせていただきたい。

 様々な建築価値観が持ち込まれる神楽坂建築塾。そこで行われた講議は、どれもがたいへん興味深いものであった。中でも各講議を通じて最も心に残った内容は、吉田桂二氏が講議された、現在の施主の考え方が、「家を建てる」と言う意識から「家を買う」と言う意識へと変化した現状です。その様子は商品住宅の砂漠化とも、生活価値観の多様化とも、住宅のとらえ方の相違によって、相反した表現となり得る。

 現在の建築(特に住宅)をとりまく価値観におおくの差が生ずる最も大きな要因は、建築学が抱え持つ、その内容の幅広さと、奥行きの深さに起因する建築教育の較差と考えられる。建築に携わるものとそうでないものは勿論の事、隣席で建築学の教育課程を受けた同志ですら、様々な対立を発生させている。住宅にみる風土論争や高層マンション建設反対問題での衝突は言うに及ばない適例である。無論、そこには複雑に絡み付く社会システムの存在が大きい事は明確であり、容易にその温度差が緩和されるとは考えられない。

 だからこそ、この紙片上ぐらいでは、タブーや垣根を超えた建築価値観の共有の起爆剤を提言してみたくなった。両案共に、建築学の解放と表現したい。

 提案1.

 簡単な住宅改修や増築、更には新築工事についてを自ら(又は身近な物)の手でこなせる技術習得を建築教育を義務教育の中に組み込む。もの作りの楽しさと高い美意識を共有していける社会の形成を目指す。生涯年収の大部分を占める住宅購入時における欠陥住宅購入の回避。不透明な建築工事価格の透明化。使い捨てされる家具から、三代使用可能な家具の目利き。最終的には、後世の人間が、都市部において風土性や地域性と言った要素を住宅から読み取る事ができるようにさせたい。しかし、反面、これらを職としていた多くの者が失業、又は転職を余儀無くされるだろう。

 提案2.

 住宅の著作権問題を解消させ、古今東西の名作といわれる住宅作品を集めた住宅展示場の提案。ハウスメーカーの商品化住宅による全国画一ではなく、質の高い住宅に接する機会を積極的に提供し、数ランク上の住む楽しさを全国各地で共有させていく。行政か建築学会かハウスメーカー業界か、工務店組合か、はたまた総合商社か、何処がプロデュースする機関かがとっても重要である。

 建築学は医学や法律学などの学問と同様に、職業と学問が比較的通じている分野である。そして、多くがその特異性を独占する傾向にあると言えよう。しかし、本来、衣食住に数えられる建築行為は、階級なく皆が共有していくことで、その本当の意味を持ち、そして美しさが与えられ、増加していくものと私は信ずる。

「建築作品に生涯をかける者は過去に多く存在したが、境界のない建築意識の共有に生涯をかけるものの存在は果たして、今後、現れるのだろうか?」

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