AYUMI GALLERY

1998.2.27 fri. 〜3.4 wed.

佐藤淳一写真展
[ 境界 3 ]

佐藤淳一 (さとうじゅんいち)

<略歴>
1963 宮城県に生まれる
1987/東北大学工学部卒業
1990/武蔵野美術大学短期大学部卒業
1992〜/武蔵野美術大学 非常勤講師
《個展》
1995/「water's edge : 水際 」アユミギャラリー(東京)
1997/「outskirts : 周縁 」アユミギャラリー(東京)
《グループ展》
1995/日本的撮影家作品展/中国美術学院展示ホール(中国・杭州市)

《■佐藤淳一写真展[境界3]WWW版》
1998年2月27日 午前0時オープン
http://www.st.rim.or.jp/~jsato/b3/

佐藤淳一の作品は、可視あるいは不可視の「境界」の認識を試みた、その記録ということができる。これまで佐藤の境界の認識の試みは、主に水と陸という二つの世界の接触面の、大小の様相を把捉することに向けられ てきた。具体的なアプローチとして、35ミリカメラを使った微分的かつ微視的な裁断による即物的な把捉があり、あるいはユーラシア大陸と太平洋を対置させたときに関東平野が帯びる境界のニュアンスを、大型ピンホールカメラによる光線の積分画像としてあぶり出す仕事があった。

今回の作品群は、ピンホールを使った境界のあぶり出しを継続したものである。対象(オブジェクト)として利根川水系の「水門」が選択される。陸地における境界のひとつが河川であり、水門はその水系における水位の境界とされる。つまり境界線上の境界線という、境界同士の直交する場として、水門は強い原点性をまとい、とてつもない装置としてわれわれの前に立ち現われる。水門の存在の強度と対峙する装置として佐藤は、対象的ともいうべき微小なピンホールを使う。しかし対照的なのはスケールだけであって、実はピンホール水門が洪水制御を行うのにも似て、奔流のような外光をせき止めつつも、同時に暗箱(カメラ・オブスキュラ)の内部へ導き入れる働きをする。佐藤は対象(オブジェ)と映像(イマージュ)を仕切る水門がピンホールであると考え、境界を使って境界を記録しているのである。

next
back

1998展覧会一覧へ戻る