近代建築スケッチ会 in 弘前

弘前の近代建築と温泉を堪能

近代建築史への旅スケッチツアー盛況


「近代建築史への旅第十回スケッチ展(後期日程)」は、1999年8月21日(土)から弘前市で無事スタートを切りました。
 青森県内の8件を含む全国105の近代建築が、棟梁建築家堀江佐吉設計の青森銀行記念館(1904年築/国指定重要文化財)の中にぎっしりと並んでいます。

 

←青森銀行記念館内部の展示の様子

 開幕にあわせたスケッチツアーには、東京や静岡、北海道などから、展覧会出品者や神楽坂建築塾塾生など31名が参加しました。

 夜行バス等で弘前駅に集まったメンバーは、21日朝、青森事務局の板垣美保さん(川田設計)の先導で市内まち歩きに出発。弘前昇天教会(1921)や弘前カトリック教会(1910)、旧市立図書館(1906)など、弘前市内に残る明治期の良質な近代建築や、弘前城周辺の武家屋敷などをじっくりと見学。

←こんなところにも近代建築【土手町の路地にて】

 この日、地元から参加した出展者の川口みさ子さんのご自宅(川口染工場/大正時代築)も特別に見学させていただきました。

 午後からは各自が気に入った場所を見つけてスケッチ開始。途中の驟雨にもかかわらずみなさんが作品を完成させ、夕方に再集合してスケッチ講評会がもたれました。

 夜は黒石市の温湯(ぬるゆ)温泉の湯治宿で一泊し、大正時代そのままの湯治宿で温泉情緒を満喫しました。

←川口染工場の外観

 22日(日)には盛美館や黒石市街のこみせ(防雪アーケード)のまちなみを各自見学。

14時からはギャラリートーク「津軽の近代建築を描く」を開催しました。美術家の村上善男氏(弘前大学名誉教授)、画家の藪野健氏(早大教授)、工業デザイナーの中村達也氏(北海道東海大学講師)、写真家の宮本和義氏、青森県建築士会の川田洋一氏そして鈴木喜一がパネリストとして出席。

←ギャラリートークのパネリストたち

「こんなに近代建築が残っているエリアは希有」
「絵心をそそられる美しい家なのに住人は古くてぼろいと思っている。描くことでエールを送りたい」
「環境共生の家づくりをしているが、昔の建築こそ自然素材を使った共生の家であったことに気づいた」
「古い建物を壊して建てる以上、そこにあった以上の建築をつくる気概が今の建築家にあるのだろうか」……等の活発な意見が出されました。
 また、会場には堀江佐吉の曾孫にあたる堀江敏志氏(堀江組現社長)も姿を見せ、「私自身、弘前を出て再び戻った時にまちの魅力に気づいた。今日の皆さんのお話を行政担当者が聞いていればもっといいまちになるのではないか」と感想を語りました。

←尾上町に残る盛美館

 最後に、鈴木喜一のスケッチ作品「青森銀行記念館」を展覧会終了後に寄贈することに対して、青森銀行頭取からの感謝状が手渡されました。準備から設営、ツアー企画と更に片づけまで、川田設計のみなさんそして建築士会のみなさんの献身的ながんばりによって、忘れ難い青森ツアーを楽しむことができました。改めて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
 なお、展覧会は29日まで開催されています。

←ペーパークラフトによる青森銀行記念館【小林淳男氏作成】


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