チベットから帰って早一ヶ月が経ってしまった。ゴールデンウィーク後半ようやく写真の整理が終わり、お世話になった方々や中国の村々に写真を届けるべく投函でき、ほっと一安心。デジカメの気軽さと被写体の素晴しさに650回もシャッターを切っていた。特にお気に入りの1枚は、満面の笑みで両手を差し出すご婦人、手には溢れんばかりの胡桃がいっぱい。
布科村から有志6人だけが村の書記長・尼馬阿洛さんの案内で、標高差400メートルの山道を歩き、2時間半かけて辿り着いた西刷村での最後の出来事である。到着した最初の家でバター茶や胡桃、蒸しパンやリンゴをいっぱい出していただいた。村を見学したい我々は、早々に小さな村を隈無く散策し写真やスケッチをした。1時間半の短い滞在だった。帰ろうとする我々6人全員の鞄に、ありったけの胡桃やリンゴなどの食べ物を詰め込もうとしているご婦人の姿である。見知らぬ通りすがりの旅人を、暖かい心で送り出してくれる。心から豊かさを感じるとともに、我々日本人とくらべ、どちらが本当に豊なのかを考えさせられた。
もう1枚選ぶとすると、やはり厠所(トイレ)であろうか?詳しくは阿部正義さんの報告に上げられているが、究極の循環型システムである。4月に2度、名古屋で報告会をしたが、やはり注目の的だった。しかし不思議と臭わなかった。

(名古屋在住 建築家 住工房 小栗康生)

小栗康生

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