Mさんに借りた本『タオ』の中の一節「小国寡民」を僕は昔からとても気に入っている。これ以上のどんな文明にほんとうの幸福があるのだろうか。

 私の理想の国

 私が大切にしたいのは
 国の大きさでも繁栄でもないよ
 まぁ言えば
 その国はごく小さくてよい
 人口もごく少なくてよい
 その国の住人たちは
 生きること 死ぬことを大切にするから
 船や車で遠く飛び出して行ったりはしない
 少しは武器みたいなものがあったとしても
 誰も使おうとはしない
 商品取り引きは
 縄に結び目をつけた簡単な約束で済ませる
 それでいて食事はゆったりとおいしく作り
 着るものは清潔な布を用いる
 日々楽しさと平和に満ち足りている
 隣の国は近くて
 犬の遠吠えや鶏の鳴き声さえ聞こえるけれど
 他の国の住民と往来しない
 そしてずいぶん歳をとって 静かに死んでゆく

 

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