天野邸では、築33年の木造住宅の内部改修工事を行なった。施主の要望に基づき、鈴木喜一建築計画工房では、3つのコンセプトをかかげ設計に取りかかった。
3つのコンセプト
「絵の飾れる壁面」……どこにでも絵画が飾れるように壁面を厚さ5.5ミリのシナベニアで構成し、壁面、天井面ともつや消しの白ペンキで仕上げ、壁面にはスポット照明を装置し、さながら画廊のような空間となっている。
「明るい部屋」……改修前の居間はとにかく暗かった。それを解消するため、施主からの要望は「できるだけ窓を大きく」、「できるだけ天井を高く」というものだった。解体作業を待って、物理的、構造的にどこまで可能か慎重に検討し、大工さんとの二人三脚によって実現することになった。
「使える物の再利用」……当初の間取りを残す方向で計画は進められたが、居間の間仕切り壁だけは全て撤去した。居間に取り残された柱は、空間のアクセントとしてだけでなく、改修の記憶として居間を演出することになった。再利用した主な部材は、和室の絞り丸太、大半の柱や梁、玄関の下駄箱等がある。
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