諏訪近代建築スケッチ会 報告
2003.6.10作成

近代建築と温泉のまちを堪能しました

 近代建築史への旅第14回スケッチ展のプレ企画として、6月1日(日)に行なわれた「上諏訪まちあるき+スケッチ会」には、関東近県を中心に、スケッチ展出品者や神楽坂建築塾塾生、美術塾塾生、インターネットからの参加者など16人が集まりました。

 前日は台風が来て諏訪地方は雨が降ったりやんだり不安定な天気で、当日はどうなることかと思いましたが、最後まで雨が降ることなく無事終わることができました。


▲上諏訪駅前でのルート説明


▲信州諏訪味噌工業協同組合事務所

 まず午前中に上諏訪駅に集合し、駅前通りの国道20号線を南に歩きました。
 そのまま通り過ぎてしまいそうな本町のアーケードの道路と反対側の建物を見上げると、たくさんの近代建築が目に飛び込んできました。シンボルマーク、屋根の形、建具。屋根の下からではとても想像できない独特な姿をしていました。そのまま見上げながらアーケードを歩くと、洋品店・貴金属店、薬屋、八百屋、雑貨屋、ミシン屋、金物店等多くの近代建築があり、古い町並みが残っていました。昭和元年に火事で焼失した建物もありますが、建築年代は大正から昭和の初期までがほとんどでした。

 アーケードを抜けそのまま国道20号線を真っ直ぐ行くと、まず見えてくるのが昭和初期につくられた煉瓦造りの信州諏訪味噌工業協同組合事務所です。少し先には、構造体の鉄のアーチが特徴的な金物店。さらにその向かい側には、舞姫酒造があります。これは明治27年に建てられた建物で、通りに面して蔵の窓が店の特徴となっているようでした。また隣の蔵は文庫蔵だったのを改築して現在は、ギャラリーになっています。近代建築史への旅スケッチ展は、ここを会場とし開催されることになります。

 舞姫酒造から上諏訪駅の方に戻って並木通りに行くと、その通りは道路両側に欅が生い茂り、温泉の沸き出し口もあるなど市民の憩いの場となる通りになっています。そこには入り口の大きな門と、ツルに覆われた建物の上諏訪病院や、木造の青木病院、コンクリート造りの新青木病院など病院が連続して並んでいます。更に進むと、通りに面してる蔵の黒い壁が倒れかかっていました。その先には、高島城へ行くことができます。

▲三村貴金属工業▲舞姫酒造


▲諏訪地方の蔵の屋根は深く、けらばには覆い板が取り付けられたものが多い


▲代表的な本棟造りの民家。棟の上に雀踊りが見える


▲片倉館
▲三村貴金属店での講評会(左:伊藤信治氏、右:鈴木喜一)

[この頁の写真はすべて魚谷幸子氏撮影]

 今度は上諏訪駅の西側にある諏訪湖の湖畔へ行き、千人風呂で有名な煉瓦造りの建物、片倉館を見学しました。昔は片倉館のすぐ傍まで諏訪湖が来ていたそうですが、現在では埋め立てられてカリン並木ができています。この通りには、木製建具が壁面に敷き詰められた3階建ての旅館もあります。

 各自それぞれに近代建築を楽しみ、15時の集合時間までスケッチ。三村貴金属店に再集合して講評会がもたれました。参加者からは、「地元の方に話しかけられビールまでご馳走になった」「私はあんパンをいただいた」「8月のスケッチ展のことを話したら興味を持たれ、『その時は見に行きます』と言われた」など、地元の方との交流を楽しんだ様子が語られました。

 諏訪は温泉で有名なまちですが、近代建築もひっそりと残る歴史あるまちでもありました。準備していただいた伊藤信治さん、ありがとうございました。【遠山 元】


▲5/30付け『信濃毎日新聞』(クリックで拡大)


当日の主な作品と参加者の感想文
(絵と文章は直接関係ありません)


▲舞姫酒造


▲宮坂醸造

 半日ではとても足りないくらい、諏訪の町は魅力的でした。特に並木通りは緑に囲まれた素敵な建物がいっぱいでした。なぜ病院がひとつのところに集まっているのだろう、そんな諏訪の町の成り立ちや歴史などについても知りたくなりました【女性】

 長野が好きなので今回参加しましたが、行ってよかったと思いました。建築が好きになって初めての諏訪でしたが、なかなか興味深かったです。よく見ないと見落としそうな所に、何気なく残されているのを発見するのが楽しかったです。と同時に消えていきそうな危うさも感じました。今度のスケッチ展で、地元の人も自分たちの町の良さにもっと目を向けてくれたらと思いました。【Y.N】


▲三村貴金属店


▲宮坂醸造

 上諏訪駅を降りると、一見地味な感じはしますがどうしてどうして、見れば見るほど隅におけない建物があります。駅近くにいきなり江戸時代があるし、明治の蔵はあるし、路地を入れば木造三階建てに会えるし、いい味出してる無名の洋風民家はあるし、少し歩けばスクラッチタイルの巨大銭湯・片倉館に会えるし、やるじゃん諏訪市、みんな下手な改装なんかしないで(特に昭和の商店建築たち、君だよ君)自信を持て!と言ってあげたくなりました。【R.N】

 上諏訪の町の印象は「水路とお湯タンクの町」でした。諏訪湖を囲む山から流れる綺麗な水が、家々の細い水路をつたい諏訪湖に流れ込んでいます。
 町の辻や家の前には、様々な形をしたお湯をくみ上げるタンクがあります。町内で共有している「とんがり帽子のタンク」は、あっちこっちに湯垢がついて年季が入っていて、足でも生えて歩いていってしまいそうです。
 私がスケッチをしていた柳町のタンクは、下諏訪の方に向かって、なだらかに上がってゆく道の途中にありました。
 スケッチをするのは難しいのですが、高低のある町は見ていて楽しいです。【Y.T】

 諏訪の市街地は初めての訪問でしたが、これほどまでにすばらしい建築物が残されていることに驚きと嬉しさがこみ上げてきました。とても一日や二日で歩ききれる物でもなくできれば一週間くらい滞在してスケッチして回りたいと思いました。スケッチをしている見ず知らずの私に優しい言葉と冷えた缶ビールをくださったお孫さん連れのおじいちゃん。大変ごちそうさまでした。また描きに行くので宜しくお願いします。今度は温泉もゆっくりと入りたいな。【M.A】

 台風が去った直後で雲の流れが速く曇ったり、晴れたり。太陽が顔を出すと、真っ青な空と諏訪の山々の緑との美しさに感動した。スケッチすると何度もその建物を見るので、2時間も見ていると今でも頭の中に建物の細部までくっきり覚えています。建築塾5期生の私は、スケッチの始めたのは最近ですが、写真とは違う魅力に魅了されています。凄く良い1日でした。【S.M】


▲信州諏訪味噌工業協同組合事務所


▲雑貨屋とミシン屋

 いつも目線が道路わきに生えている野草や空を見上げてじっくり建物を見ることをしてこなかった私。新緑の上諏訪が建物と新芽の緑との調和がこんなにも美しいものかと驚きと上諏訪の街と空に恋している自分を発見。前日から上諏訪入りしたが朝から雨、伊藤さんに車で諏訪の街を案内していただき諏訪神社に行くと挙式があり参道を歩いている新郎新婦にあい土地のものでも滅多に見ることが出来ないとのこと、一時の幸せ気分を味わう事が出来ました。別荘での宿泊も楽しく伊藤様には大変お世話になりました。【Y.U】

 一見何でもない古いまち並をじっくり見て歩くことができ、また、描こうとすると「描きたいもの、良いもの」を見つけようとするので、それが楽しかったです。建築塾一回目のフィールドワークより、少し楽しんで描けるようになってきました。伊藤さんの、自分の生まれ育ったまちを愛する気持ちにも感動です。私も、自分にとって大切なものを見つけてゆきたく思います。【A.S】

 私は今回初めて諏訪に訪問しました。どこに行っても絵になる建物ばかりで、予想以上の町並みに感激しました。駅前の通りだけでも素敵な建物がたくさんあり、私はそこでスケッチを初めてしまった為、すべてを見て回ることができなかったのが残念でした。今度行くときは時間をかけて諏訪の町を堪能したいと思います。【J.U】

諏訪を訪ねて
 ここは温泉の湧出量日本一で街のあちこちにお湯に関わるものがあります。街中のお湯のタンクやら駅前のお湯の湧水とか。今回私は集合時間より早く着いてしまったので駅構内の足湯でのんびりする事も出来ました。ただ時間もそんなに無く諏訪の一部分しか見られなかったのですが、駅前の商店街の看板建築(アーケードによって見えなかったのが反対側から見えたときは圧巻)、造り酒屋街の蔵々(焼板貼りの路地とか)、裏通りの寂れた映画館、城下町の折れ曲がった道沿いの老舗、街中にある屋敷・・・etc、ぶらぶらと歩いているとふっと現れる光景一つ一つになにか懐かしさを感じ、ふと建物の奥に山が見えるたびに「山の中に囲まれた地」だった事を思い出しました。
 こんな山奥でも文化を積み重ねていきこのような街並みが育ってきたことに驚きつつも、日本書紀の時代から続いてきた土地と思うとなんだか納得したりもします。そういえば、スケッチの後で諏訪大社へ行った時に誰かが「明日香のような懐かしさがある」ような事を言っていました。養蚕〜精密機械と独自の産業があったからこそ、あれだけの街並みが出来たのかもしれませんね。寂れた面を感じるとこれからはどうなっていくのかなと心配になったりもしますが、懐かしいこのふるさとを訪ねてはみませんか?おすすめですよ。【平野匡城】

 上諏訪は初めて行きましたが大変良いところです。気に入りました。ここに引っ越してもいいぞ、しかし職はあるのか?
 お気に入りの理由
 1.温泉が駅にある、デパートの中にもある、町じゅうの家々にもある。
 2.町が騒がしくなく、絵になる建物がそこにも、あそこにも、向こうにも・・
 3.人々が優しーい。スケッチしてると「この町に興味をもってくれて有難う」って・・言ってくれて・・ううっ(泣)・・・「良かったら見てください」って『上諏訪百景』のビデオを家に戻って持ってきてくれて・・・うううっ・・近ごろ優しさに飢えている身にはぐらっとくるぜ・・・。
 4.おまけ付き 帰途には、これまた優しき落合氏が車で、塾生約3名を『上諏訪神社』や『神長館守矢資料館』を案内してくれて、感激!『資料館』は時間が遅いため入館できず。ぜひ再び訪れて、あの不思議にも懐かしき気配を感じさせる魅力的な建物を書き留めておかなければ。以上、幸せな1日を有難うございました。【T.I】

※この他に、このスケッチ会の呼びかけページにも諏訪の建築画像集があります。


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