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アユミギャラリーにやってき た Vol.3 |
望月祐志(YM)×鈴木喜一(KS) |
この対談はインターネットを経由したバーチャルコミュニケーション であり、「Vol.1」 「Vol.2」の続編となるものである。 YM● Bフレッツ光回線がアユミギャラリーに来て2ヶ月程 ですが、使ってみた感じ、速さがすっかり当たり前になっておられる頃かと。一度、 ブロードバンド(数Mbps以上の速度)を使ってしまうと、もう戻れないものなんで す。業務の上でのメリットの方はいかがですか? KS● ギャラリーのWebサイトなど、ネット を使ってデータやり取りをしてるのはスタッフなので、僕自身は業務上のメリットは よくはわかりませんが……(笑)、確かに速さが当たり前になって歓迎している ようです。僕の感覚では、調べ事なんかで使う時のブラウズが前とは格段の速度 ですね。でもちょっとダイヤルアップの時代が懐かしい。何せ辺境派ですから…… (笑) YM● 先生らしい。(笑) たしかに、ブロードバンドは、アジアでは他に韓国なんかが進んでます が、他のところはネットの普及自体がまだこれからですし、先日スケッチにお出 かけになったルーマニアなど東欧圏でも同様かもしれません。ま、しかし、使える環 境は有効に使いたいですよね。(笑) ギャラリーのホームページも、ブロードバンド 向けのコンテンツを乗せることを考えてもいい時期かもしれませんよ。例えばギャラ リーでの展示の模様をQuickTimeムービーにするとか。光回線を引いた先進の ギャラリーなので、 情報発信としてはやってみる意味はあると思うんです。 |
歓迎している……「日々の更新が劇的にスピードアップしま した」「手の動きがついていかないくらいです」との声に溢れているアユミギャラリ ーオフィスの様子【下写真/撮影:畑亮】。 韓国なんかが進んでいる……韓国では早くからADSLが普及 し、2001年時点で600 万世帯が1 Mbps 級の高速網に接続されている。 |
KS● なるほどね。スタッフがま た忙しくなってかわいそうだ。(笑) インフラの整備に追いつく彼らのスキルアップも課題だろうし、まあおいおい ね。ご指導よろしく。 YM● はいはい。(笑) ところで、神楽
坂建築塾の塾生募集も始まっていますね、来期で5期目。すっかり軌道
に乗ったようですね。このところ、東京は再開発が過熱していて、汐留や六本
木なんかは象徴的な場所ですね。空中都市・摩天楼化の論理的なメリットは分らない
でもないのですが、心情的というか人にとって心地いいスケールかというと、ちょっ
と違う気もします。建築塾は古いものを活かして使うということを一貫したモチーフ
にしている
のですが、こうした視点は、これからますます意味を持っていくような気がす
るんです。それで、ちょっと脱線しそうなんで、話を戻しますと、民家保存やまちづ
くりのNPOなどのサイトとかには、いろんな情報、特に写真をはじめとする画像の資料
を揃えていると
ころもありますよね。建築塾の授業の中でも、そうしたサイトを講師の方が紹
介しながらお話をしてみてもいいのではないでしょうか。 |
QuickTimeムービー……
QuickTimeは、1991年にアップル社が発表した動画再生のマルチメディアツー
ル。CPUの処理速度に関係なく「10秒の動画は10秒で再生される」という技術を確立し
た。「QuickTimeの来し方と行く末」参照。 神楽坂建築塾の塾生募集……第5期の塾生募集は3月15日締 切で現在申込み 受け付け中。 |
KS● その方向で考えています。塾生に見せ る端末、出力機器の問題として、プロジェクターとか大型のモニターとかは必要です ね。まあ、経済的な問題でクリアーできれば始動できます。もう少し ちゃんと仕事して稼ぎますかあ。でもふらふら旅もしたいしなあ。(笑) この間、あなたたちがやったようなイベント(デジタル写真のワークショップ =ad-d.net)も拝見させていただき、たいへん参考になりましたよ。みなさ んによろしくお伝え下さい。 YM● あのイベントは、コーディネートした 私個人としては「実験」という位置付けなんですが、やってみてよかったと思ってま す。ま、それはともかくとして(笑)、再開発や建替えなどの物件で、残念ながら保 存や移築ができないのなら、先生が長年提唱しているようにスケッチとして描くこと で保存する、あるいは銀塩・デジタルの区別はおくとして、写真として残 す・・・ということは価値があると思うんです、「まちの記憶」として。著作物とし ての配慮、あるいはデータ量の問題があるので、そのままのサイズや画質ではアップ 出来ないとしても、スケッチや写真作品をだれでもが利用できるアーカイヴとしてネ ットにアップしておくことは、まちづくりの活動にとってプラスになりますね。光回 線も来ているわけですし、建築塾でも、こうした話題を積極的に取り上げていくのも おもしろいのでは、というのはちと無責任でしょうか? (笑) KS● それをね、すでにコツコツやっている
人たちがいるんですよね。例えば僕たちの仲間では前村敏彰さん(前村記念博物館
)とか建築塾の修了生とかね。そういった地道な活動をしている人やグループと
のネットワークをきっちり構築して、議論を深め、さらなる実践に結びつけていきた
いですね。 |
www.ap-d.net……写真家の小林のりお氏をヘッドに2002年12月21日にアユミギャ ラリー高橋ビルで行ったワークショップ。望月氏はコーディネータを務めた。
銀塩……銀(Ag)の酸化還元反応を利用したものである。こ
の原理によるフィルムは、光のあたったところが逆に黒くなり、実際の色と反転
(negative)するため、白黒/カラー共に「ネガフィルム」と呼ばれている。カラー
写真フィルムでは、光の三原色であるR(赤)G(緑)B(青)にそれぞれ反応する物質
の塗られたシートを3枚重ねたものが使用されている。(フジフィルムからはより表
現力を広げるため、紫の第4層を加えたフィルムが売られている。) しかし、白黒
写真のときと比べて、1粒子の感度が弱いため、粒子が大きくなるのが欠点である。
前村記念博物館……前村氏の私設ウェブミュージアム。全国の近代建築を写真ととも に紹介。「登録文化財」物件のリストも。更に「近代建築保存・再生・活用支援資料 室」が開設された。 |
YM● ふむふむ、流石ですね。塾では、他に 美術塾や写真塾もありますね。この辺でも、ネットにあるいろんなサ イトを紹介しながら話を進める可能性もあるように思いますし、塾のライブ感もアッ プするのではないかと。 KS● いま考えていることを紹介しますと
ね、美術塾では、僕がスケッチを描いていくプロセスを紹介していきたいなと
も……。できればそれも動画コンテンツとしてね。写真塾でもいろいろ考えられそう
だな。 |
美術塾と写真塾……アユミギャラリーが開設してい る私塾。くわしくはこちらへ。 |
YM● ギャラリーの展示でも、暗幕とPCとプ ロジェクターしか使いません、という人が出てくるかもしれませんね。つまり、展示 のコンテンツはネットを利用してダウンロードしたり、あるいはオンラインのライブ カメラ中継を活かしてしまうとか・・・ ブロードバンド人口は1000万人を超えたようですし、この流れは止まりませんね。ネットとアートとの関わりも変わっていきそうな気がしてきています。先生はどんな構想を持ってます? KS● そういう時代がほんとうに来るとすれば……、もう来ているのかな。 アートとか美術の概念も変っていかなくてはね。世の中、ますます先端情報表 現がネットを通じて進化していく、そうした中でアユミギャラリーの存在意義を考え なくてはね。ただね、僕はどちらかというと、アナログ派で、先端よりも末端情報収 集家なんで……。 建築の世界もそうなんですが、人間が手でつくっていくというような原初的な ものを大切にしていきたいんですよ。アユミギャラリーの主宰者としてはそのあたり を見失わないようにしてアートマネジメントしていくつもりです。社会における芸術 の現在的な位置づけをしっかり理解して、日本の、いや日本を越えてですね、グロー バルな芸術文化活動を展開していきたいですね。 YM● 応援してます。(笑) 末端と先端が実は、ある意味で等価になり得るのもネットの力というかおもし ろさです。ネット(ヴァーチャルな世界)が進んでいくと、むしろ人と人がリアルに 交わってつくってくことの価値が増してきますし、先生の言うことは、結構いいとこ (末端か先端かはおいてとくとして:笑)を突いてると思います。アユミギャラリー は、「リアルな世界とバーチャルな世界の交点」みたいな役割をますます担っていく かもしれませんね。 KS● 謝々。(笑) |
流れは止まりません……当面はDSLが高速・超高速インター ネットアクセスの主流を占めるが、光ファイバ網を活用した超高速インターネットが 2003年度から急速に普及し、2005年度にはDSLを逆転するものと予測(総務省/ 高速・超高速インターネットの普及予測pdf版) インターネット接続環境(パナソニックのサイト)によると、すでに70%以上の方がブロードバンド環境に。しかも、 「将来はもっと高速」を希望。 |
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