鈴木喜一建築計画工房

鈴木喜一建築計画工房
［改修］ File no.58

神楽坂一水寮

所在地／東京都新宿区横寺町
種別／改修・木造２階
設計／鈴木喜一建築計画工房
（担当：鈴木喜一、上見浩基）
施工／森住徳一

写真／畑　亮
協力／古道具屋　青柳龍太

創建／昭和20年代中頃
改修／2010年

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小径の先に

神楽坂の裏通り、細いS字クランクを通り抜けると、一水寮は佇んでいる。建築家高橋博により終戦後間もなく建てられた建物は、まるで新陳代謝をするように部分的修繕を繰り返し、60年の歳月を重ねてきた。今回もまた、もう何度目か知れぬ改修工事のひとつである。久しぶりにこの建物にとっては大がかりだったが......
沈殿した時間に風を通し、浮き足立った柱は地に足をつけ、くたびれた大谷石の基礎はコンクリート補強し、外壁は木酢液につけた杉板で直していく。改修工事は、当工房の基本テーマでもある「あまり目立たないよう、変わったことが些細に見えるよう」に進められた。神楽坂の裏通り、小径の先に一水寮は相変わらず時間を蓄積した風景としてある。
（上見浩基）

photo.by アトリエR

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